気仙沼に行くと驚く光景に出会います。
陸に打ち上げられているマグロ漁船です。
海にいるべきマグロ漁船が陸の上にある。まったく意味がわからない光景なんですが、
これが津波の威力だと思うと納得します。
実際に津波が迫ってくるところを見てない被災地以外のヒトが津波の威力を知るひとつの光景が
気仙沼の町中に打ち上げられているマグロ漁船の姿です。
津波で町が無くなってしまって瓦礫の山になっているのもそうなんですが、
地元ではないおれが見ると、そこにあったはずの町の姿が想像つかない。
もし元の景色を知っていれば、どんだけの家が流されたかわかるのですが、
あたり一帯がなにもない瓦礫の光景は、ただココロを無にさせてしまいます。
が、マグロ漁船は違う。これはおかしい。地元じゃないおれが見ても、ここにもともとあったものではないってことがわかる。
日本有数の漁港であった気仙沼港。船を「仕事場」にしていた被災者の方はどのぐらいいるのかわかりませんが、
これだけ大きな船に何人もの乗組員が乗り込みマグロを獲っていて
その乗組員の方々のご家族もあわせると1隻の船でどのぐらいの人数の方たちの生活を賄っていたんでしょう。
それが何隻も陸の上にある。
大迫力なこの光景は写真を撮る者にしたら「衝撃の一枚」として最高の被写体なのかもしれませんが、
その背景にある「乗組員の方たちの生活」を考えると、物悲しい風景画であることに気がつきます。
いるべき場所を間違えて陸に打ち上げられてしまった漁船たちを海に戻してあげたいと切に願います。
大変な作業だと思いますが。